世界保健機関（WHO）の報告書によると、高齢化のスピードは過去に比べてはるかに速く、60歳以上の人口は2050年までに倍増します。1WHOは同年までに高齢者の80％が低・中所得国に住むと推定しています。その結果、高齢者の介護にかかる費用や、健康全般を維持するための保健サービスという形での支援という点で、新たな課題が生じることになります。
アジア太平洋(APAC)地域は、高齢者人口を介護することで生じる課題を管理する最前線に立っています。Global AgeWatch（グローバルエイジウォッチ）によると、「シルバーコンシューマー」（高齢消費者）と呼ばれる60歳以上の高齢者の割合は、すべてのアジア諸国で増加すると予測されていますが、日本と韓国は近隣諸国よりも早く高齢化が進むと予想されています。2030年には、日本の人口の37.3％がこの年齢層になると予想され、韓国では31.4％で、2015年に比べてほぼ倍増します。同様の傾向はアジア全域で確認されています。例えば2020年までにタイや中国の人口の4分の1以上が60歳以上の高齢者になると予想されています。
健康的な加齢（ヘルシーエイジング）
人口の高齢化に伴い、高齢者が高齢になっても健康的な生活を送れるようにすることが重要になってきています。Herbalife Nutrition（ハーバライフ・ニュートリション）がAPACの消費者を対象に行った調査によりますと、健康的な高齢化の意味は、精神的に活発で鋭いということ（61％）、身体的に活動的で元気であること（57％）、病気を患っていないこと（56％）、自由で自立した生活を送ること（52％）、家族に負担をかけないこと（51％）という回答がきています。2
これらの要素は、脳と精神の健康を保つこと、身体的に活動的でいること、加齢に関連した病気を避けること、という3つの優先事項に分類することがでます。それぞれの要素には、健康的な加齢を構成するものの具体例が含まれています。：
- メンタル記憶力、注意力、集中力、リラックス、睡眠
- 肉体：エネルギー、骨、関節、筋肉、心臓
- 健康全般免疫力、腸の健康、微生物叢の多様性、感染リスク
しかし、同じHerbalifeの調査によりますと、APACの消費者の10人に3人以下が、年齢を重ねてもこれらの健康の柱を維持する能力に自信を持っていることがわかりました。そのため消費者は、認知力、免疫力、健康全般を向上させることで健康的な加齢をサポートする製品を開発するよう、食品・飲料メーカーに期待することができます。
食事は、加齢に伴う疾病を予防し、加齢過程における全般的な健康を維持するのに役立つ修正可能な要因のひとつです。3 食品・飲料メーカーは、特に加齢に伴う劣化の予防に特化した場合、消費者が実用的な方法で健康上のメリットを提供する製品によって加齢プロセスをナビゲートできるよう支援することが重要です。
食物繊維のとる量を増やす
食物繊維が健康的な食生活に欠かせないことはよく知られています。ある研究によると、食物繊維を1日25gから29g以上摂取すると、全死因死亡率および心血管疾患死亡率のリスクが低下することが示されています。4 しかし、WHOが委託した同じ調査によると、世界のほとんどの人が1日に摂取する食物繊維は20g以下だといいます。
具体的には、食物繊維は腸の健康を促進し、効果的な免疫システムをサポートします。加齢とともに腸の粘液層やバリア機能は弱まり、炎症が増加して感染症のリスクが高まります。さらに、微生物叢や有益な代謝産物の多様性が減少し、免疫系の弱体化につながることが判明していています。5
食物繊維は腸内細菌叢の多様化に寄与し、高齢化社会に有益である。その一例が、短鎖脂肪酸などの代謝産物の生成です。6 その他の利点としては、プレバイオティクス効果、血糖値の調整、満腹感の改善、体重コントロール、長期的なエネルギー放出などがあります。7
食品・飲料メーカーは、このような利点を活かすため、使いやすい食物繊維の導入に力を入れるべきです。ロケット社は、この目的のために、Non-GMOの小麦やトウモロコシから作られた水溶性食物繊維 ニュートリオース NUTRIOSE®を開発しました。消化しやすく、ファイバー含有量の高い食物繊維が求められるべきであり、最終製品のファイバー含有量が、腸の健康と一般的な健康のために推奨される十分な最適レベルに達していることが重要です。例えば、ニュートリオースNUTRIOSE® は1日当たり45gの消化許容閾値があり、副作用がありませんので、高齢者が必要とする食物繊維を摂るには最適です。
また、ニュートリオース NUTRIOSE®は腸の健康、プレバイオティクス、免疫系をサポートすることができるといういくつかの初期科学的証拠に照らして、ヒトまたは前臨床モデルにおいてさまざまな効果を示すことが示されています。研究により、ロケット社の製品は特定の有益なバクテリアを促進し、有益でないバクテリアのレベルを下げることができることが明らかになっています8 。健康への有益な影響がよく知られている代謝産物である短鎖脂肪酸の生産など、環境や腸の活動に全体的に良い影響を与えます9 。前臨床モデルにおいて、ニュートリオース NUTRIOSE® 、一部の免疫細胞反応と炎症バイオマーカーを調節し、腸のバリアを強化することが示されていいます。10, 11
健康な体のためのタンパク
食品・飲料への高品質タンパクの添加も、健康増進のために最近消費者の関心を集めている分野です。筋肉量と筋肉組織の質は加齢とともに低下する傾向にあるため、タンパクの添加は高齢者にとって特に有益です。これは、正常な身体機能の低下による生活の質の低下につながる可能性があり、APACの消費者にとって前述の主な懸念事項のひとつです。
加齢に伴い、インスリン抵抗性は増加し、血管機能障害やその他の代謝の変化も起こります。これらすべてが、筋タンパクの合成効率を低下させ、筋肉量と筋力の低下をもたらします。加齢による筋肉量と筋力の低下は、栄養価の高い良質なタンパク質の摂取を増やすことで遅らせることができます。研究によると、多くの成人は、体重1kgあたり1.2g程度のタンパクを毎日十分に摂取していません12 。 サルコペニアとは、加齢に伴って起こる筋肉の過剰で有害な減少のことであるが、タンパクの摂取量を増やし、定期的に運動を行うことで予防することができます。サルコペニアは、転倒、骨折、感染症などによる罹患率の増加や死亡率の上昇など、機能的に悪影響を及ぼします。
食品・飲料メーカーにとって、栄養価の高いタンパクを製品に加える機会は、APAC地域および世界で見られる一般的な高齢化社会と一致しています。
ロケット社は、栄養的に優れたエンドウタンパクである植物性タンパクニュートラリス NUTRALYS®の研究を行い、この製品を補給することで筋肉量が増加することを明らかにしました。13 12週間の研究では、1日50gのニュートラリス NUTRALYS®またはホエイプロテインを摂取し、週3回のスポーツトレーニングを行った参加者を分析しました。試験終了時、上腕二頭筋の厚さにホエイグループでは差は認められなかったが、ニュートラリス NUTRALYS®グループでは有意な変化が認められました。
ニュートラリス NUTRALYS® に関する他の研究では、同製品が血糖値の管理に役立つことが示されている14。2型糖尿病のリスクは加齢とともに高まるため、これは高齢者にとって特に重要です。ロケット社の臨床研究では、対照のブドウ糖飲料にニュートラリス NUTRALYS® エンドウタンパクを加えると、血糖値が有意に低下することが明らかになりました。15 導き出された結論は、ニュートラリス NUTRALYS®と高血糖食品を併用することは、血糖値を時々管理するのに有用な戦略であるというものでした。
高齢の消費者にとって理想的な製品を得るために、2つの水溶性食物繊維製品とタンパクを組み合わせることも可能です。このアプローチで懸念されるのは、2つの追加成分が最終製品の味覚プロファイルに与える影響です。これを検証するため、ロケット社は125gのアップルソースを使い、水溶性食物繊維6.3%、エンドウタンパク5.1%、小麦タンパク0.9%を配合した試験を行いました。16参加者のうち91％がアップルソースの味を「かなりおいしい」から「とてもおいしい」と評価し、この評価は21日間のテスト期間中一定でした。
高齢者の食事と栄養のニーズに特化した製品を作ることは、今日重要なことであり、APAC地域で高齢化が進むにつれて、その必要性は高まる一方です。ロケット社は、シルバー世代の消費者が認知機能、運動機能、一般的な健康上のメリットをもたらす成分から利益を得るための最良の方法を熟知しています。これが、ロケット社が、健康上の懸念に対応するだけでなく、楽しい食体験を保証するプラントベース原料の多様なポートフォリオを開発した理由のひとつです。
参考文献
1. https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/aging-and-health
2. https://www.herbalife.com.sg/apacnews/press-release/healthy-aging/
3. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34959862/
4. https://www.sciencedaily.com/releases/2019/01/190110184737.htm
5. https://doi.org/10.12688/f1000research.15121.1
6. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9787832/
7. https://doi.org/10.3390/nu15010047
8. http://www.cabidigitallibrary.org/doi/10.1079/PAVSNNR20116052
9. https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0077128
10. https://academic.oup.com/ibdjournal/article/16/5/783-794/4628273
11. https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0261561417302169
12. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8068133/
13. https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1186/s12970-014-0064-5
14. https://link.springer.com/10.1007/s00394-021-02481-8
15. https://radar.brookes.ac.uk/radar/file/2ec7483e-d97f-4ad0-aa48-11163645204e/1/NUTRALYS%C2%AE%20pea%20protein%20-%202021%20-%20Thondre%20et%20al.pdf
16. http://link.springer.com/10.1007/s40520-015-0415-3
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